離婚相談のQ&A
離婚に関するよくある質問を掲載しました。参考にしていただければ幸いです。
夫と上手くいかず、ほかの男性とお付き合いを始めました。夫と離婚して、その男性と結婚したいと思っています。しかし、夫が離婚に応じてくれません。裁判をすれば、夫と離婚できますか。
A:不貞行為をした配偶者のことを有責配偶者といいます。
有責配偶者からの離婚請求については、最高裁判所昭和27年2月19日判決がそのような請求が認められれば、残される相手方が「踏んだり蹴たり」であるから、認めないと判示しました。その後、最高裁判所昭和62年9月2日判決が、以下の条件で、有責配偶者からの離婚請求を認めました。
①夫婦の別居が両当事者の年齢および同居期間との対比において相当の長期間に及んでいること
②その夫婦間に未成熟の子が存在しないこと
③相手方配偶者が離婚により精神的・社会的・経済的に極めて困難な状態に置かれないこと
現在でも、この基準が有責配偶者からの離婚請求を認める上で利用されています。
しかし、未成熟子が2人いる夫婦において、有責配偶者である妻が、別居が長期間に及んでいない状況で、離婚請求をした事例について、東京高等裁判所平成26年6月12日判決は離婚を認めました。この事案の第一審は、妻が有責配偶者であり、妻が他の男性との生活を望んで別居するまで夫婦が円満であったこと、別居が1年半あまりに過ぎず、妻が行動を改めれば、夫婦関係は修復される可能性があり、婚姻関係は破綻していないとして、離婚を認めませんでした。
東京高等裁判所平成26年6月12日判決は、「有責配偶者からの離婚請求が否定されてきた実質的な理由の一つは、一家の収入を支えている夫が、妻以外の女性と不倫や不貞の関係に及んで別居状態となり、そのような身勝手な夫からの離婚請求をそのまま認めてしまうことは、残された妻子が安定的な収入を絶たれて経済的に不安定な状態に追い込まれてしまい、著しく社会正義に反する結果となるため、そのような事態を回避するという目的があったものと解される」から、有責配偶者からの離婚請求であっても、「著しく社会正義に反するような結果がもたらされる場合でなければ、その離婚請求をどうしても否定しなければならないものではない。」として、このケースにおいては、夫婦の婚姻関係が破綻した責任の一端が夫にもあり、妻は子ども達を働きながら養育監護していく覚悟であり、その養育監護状態に特に問題もなく、未成年の福祉が害されることは認めがたく、夫ももともと妻との離婚を求めており、収入もあるために、精神的・社会的・経済的に極めて困難な状況に置かれるわけではないといして、離婚を認めました。
この裁判例は、有責配偶者からの離婚請求の是非を判断するための3要件が必要とされる趣旨を確認して、具体的な諸事情を勘案して、有責配偶者からの離婚請求を認めたものです。このように有責配偶者からの離婚請求であっても、認められる場合がありますが、個々のケースの分析が必要になりますので、詳しい事情を伺わないと何とも言えません。
一般的に、有責配偶者の離婚請求は難しく、離婚請求を行いにくいという印象があります。
しかし、このような裁判例が増えてくれば、交渉の中で裁判例を示すことで、交渉がまとまり、協議離婚がしやすくなる可能性があると思います。
《他の質問》
Q:夫と上手くいかず、ほかの男性とお付き合いを始めました。夫と離婚して、その男性と結婚したいと思っています。しかし、夫が離婚に応じてくれません。裁判をすれば、夫と離婚できますか。
Q(1):離婚した後に、自宅にそのまま住み続けたいと思っています。自宅は、夫名義で夫がローンを支払っています。どのように処理すればいいでしょうか。
Q(2):離婚に際して、夫名義の自宅に私と子どもが住み続け、夫が家を出て、住宅ローンを払っていくことを約束しました。しかし、その後、夫がこれ以上ローンを払えないと言ってきました。どうしたら良いでしょうか。
Q:離婚するときに、家具などの家財道具について、誰が何を引き取るのか決まらなくて困っています。
Q:数年前に配偶者が事故で重度の障害を負い、それからずっと夫の介護をしてきましたが疲れてしまいました。離婚をすることはできますか。
Q:夫は会社に勤めています。将来、夫が受け取る退職金を財産分与の対象にすることは出来るでしょうか。
Q:夫の浮気が発覚したのですが、私は離婚をしたくありません。しかし、夫から、妻である私の家事が至らないことが原因で婚姻関係が破綻したのであるから、自分に責任はないと言われました。夫から離婚の請求を受けた場合、離婚しなければならないのでしょうか。
Q:夫が長年不倫をしており、この度、離婚をすることを決意しました。夫とその不倫相手に慰謝料を求めることはできますか。
Q:子どもと一緒に自宅を出て、夫と別居していましたが、夫が子どもを連れて行ってしまいました。子どもを返してもらうことはできますか。
Q:配偶者が、自分の借金の返済のために生活費を使い込んでしまいました。離婚の際に、使い込まれた生活費を返して貰うことはできますか。
Q:当事者本人が相談に行く必要がありますか?
Q:弁護士に相談するタイミングはいつがよいのでしょうか?
Q:離婚をしたいと考えていますが、相手が離婚に応じてくれません。相手の同意がなければ離婚はできないのですか。
Q:夫との離婚を考えていますが、離婚後、1人で生活をしていけるか不安です。離婚の際に、夫から金銭をもらうことはできますか。
Q:離婚について、当事者間で条件についての話合いが出来ました。夫から財産分与と養育費の支払いを受けることになっていますが、将来確実にもらえるようにするために、しておくべきことはありますか。
Q:夫と離婚したいと考え、家を出ましたが、夫が生活費を支払ってくれません。支払うよう請求することは出来ますか。
Q:別居中の夫から毎月生活費をもらっていますが、今の金額が妥当なのかどうかわかりません。
Q:夫が不倫していることが分かり、離婚の話し合いをしています。夫の不倫相手から慰謝料をもらうことはできますか。
Q:子どもの親権者を母親である私に指定することで合意ができました。今後一切、子どもを父親に会わせないようにすることはできますか。
Q:夫と結婚していた期間が長いので、離婚をしてからも、旧姓ではなく現在の姓(夫の姓)を使い続けたいと考えています。現在の姓(夫の姓)を使い続けることはできますか。
Q:子どもが生まれてから、主に専業主婦である私が子どもの面倒を見ていましたが、離婚の話し合いをする中で、夫が子どもの親権を取りたいと主張しています。私が専業主婦であるため、稼ぎがないと、親権者は夫にされてしまうのでしょうか。
Q:夫が長年不倫をしており、この度、離婚をすることを決意しました。夫とその不倫相手に慰謝料を求めることはできますか。