裁判例3 東京地方裁判所平成18年12月25日
【原告(女性:会社員)が被告(男性:会社員)に対し、慰謝料3000万円及び諸費用約200万円の支払を請求した事案】
≪裁判所の判断≫
<婚約の成否>
被告が結婚式場及び結婚披露宴の予約をしたこと、原被告双方の両親とともに婚姻の話をして双方の意思を確認したこと、原告が被告の実家から支度金を受け取ったことといった事実から、婚約の成立を認定した。
<破棄理由>
原被告の同居後、生活にすれ違いが生じ、被告から結婚式場のキャンセルを申し出、その後も当事者間の関係が改善されずに交際を解消したという経緯から、被告からの一方的な申出により婚約が解消されたと認定した。
<損害>
原告は、婚約破棄が原因でうつ病を発症したと主張したが、被告が賠償すべき損害の範囲は、婚約破棄によって一般的に通常生じると考えられる程度の精神的苦痛にとどまるとして、慰謝料については70万円が相当であるとした。
また、原告が、婚約不履行により支出を余儀なくされたと主張した諸費用(うつ病の治療費等)についても、婚約不履行との因果関係が認められない等として、弁護士費用10万円のみを損害と認めた。
≪弁護士の一言≫
被告が責任を負うべき損害の範囲ついて、通常生ずべき損害かどうか、相当因果関係が認められるかどうかといった観点から、限定的に捉えている点が特徴的な裁判例です。